コンクリートは、打設・型枠脱型直後に表層部分から水分蒸散が盛んに起こり、コンクリート内部には無数の空隙が出来ます。
乾燥が進みにつれて空隙内部に存在する毛細管水やゲルの表面張力が働き、空隙は引っ張られて空隙同士が繋がりはじめ体積現象が起きます。
特に乾燥が早いコンクリート表層部分は収縮が大きく、内奥部ほど収縮は小さくなります。
結果、コンクリート部材全体の変形は平面を保とうとしますが、収縮ひずみは拘束されるので表層部分には引っ張り力が発生してひび割れが発生します。

新設コンクリートの乾燥収縮ひび割れ断面図。
コンクリートは乾燥硬化後、内部の粗大空隙(1/1000mm=マイクロメータースケールの毛細管空隙)が多い程、ひび割れは多く発生し、コンクリート内部に溜め込んだ水分は抜けていき密度は低下して、ひび割れは拡大していきます。
さらに水和反応に必要なゲル水までもが消失すると、コンクリートの結晶化は止まり品質低下と耐久性の損失を招いてしまいます。
ひび割れからは、様々なコンクリート劣化誘因物質(二酸化炭素・塩化物イオン・水等)が常時侵入し、中性化・鉄筋腐食・爆裂・白華・漏水等を引き起こし、コンクリートの品質や耐久性を低下させます。
初期の予防措置が重要
打設型枠脱型直後の初期養生が大切です。
コンクリート表面からの水分蒸散を防ぎ水和反応をしっかり促進させることで表層部を緻密化、コンクリート内部の水分蒸散を低減してコンクリート全体の水和反応を促進していくことがひび割れの少ない耐久性の高いコンクリートを作るポイントになります。