大谷石を積み上げて建築された蔵の改修・補強の工事で、劣化防止、撥水性を付加させる目的でサンマテラーアクアと、サンマテラーフレアが採用されました。
改修・補強の課題
東京都内郊外には、コンクリートや鉄筋などの近代的建材素材を使用せずに、石だけを積み上げた組積造によって建築された昔ながらの蔵が多く存在します。
施工がおこなれた蔵も大谷石を積み上げて建築された蔵です。
蔵の改修工事は、大谷石が持つ自然の風合いを維持した改修も課題のひとつでした。
サンマテラーアクアは、主に大谷石の強度向上を目的とし、サンマテラーフレアは、主に大谷石の劣化防止や美観の維持を目的としての役割を担います。どちらの製品も素地を活かして効果を発揮することができます。
大谷石の特徴
- 柔らかく淡い色調で日本の風土に合った意匠性を持ち加工しやすい。
- 多孔質構造であるため断熱性、調湿性などの効果を持ち蔵などの空間には最適です。
- 火山由来の石であるため耐火性に優れています。
大谷石の取り扱いの難しい点
- コンクリートや御影石と比べて圧縮強度は低く外力や摩耗に弱い。
- 吸水性が高いゆえに凍害や酸性雨に弱く、風化・粉化が問題となります。
- 吸水性が高いゆえにカビ、苔などの付着、目地材からの白華が起きやすい。
- 産地が限定され採掘可能な良質な大谷石が減少しておりコストが高い。
大谷石の蔵への施工
サンマテラーアクアを塗布して、大谷石の内部から改質して緻密化し。さらにサンマテラーフレアを塗布して、遮水防水層の形成により劣化を防止する施工が行われました。
具体的な施工フローチャート
1.高圧洗浄
表面の汚れ、カビ、白華などを除去します。
2.サンマテラーアクアクリーナーによる洗浄
大谷石内部の空隙に溜まった不純物を析出洗浄、含浸剤の活性化を補助する役目。
3.サンマテラーアクアを2回塗布
主成分のケイ酸塩化合物は、大谷石の成分(炭酸カルシウム、カルシウム、石灰など)と化学的反応を起こし、微弱ながらもC-S-H結晶ができ表層部が緻密化されます。
4.サンマテラーフレアを2回塗布
主成分のシラン・シロキサンは、多孔質の大谷石に深く含浸して超遮水層を形成することから、大幅な吸水性の低減により凍害や菌類汚染などを防止します。



施工後
樹脂膜形成しない無機の力で、大谷石の風合いが活かされたまま施工が完了しました。
大谷石本来の風合いを全く損なうことなく撥水性と通気性を両立し、表面の強度も向上して美観の維持にも貢献しました。



大谷石に塗布したサンマテラーフレアの撥水効果
水を掛けても全く水が染み込まず、高い撥水効果を発揮しています。
また、汚れが付きにくく、カビや菌類の繁殖抑制にも繋がり、美観維持にも貢献します。
施工 鈴木建塗工業株式会社








