東京都内の自然環境豊かな国分寺崖線に建つ企業社宅の改修工事にて、外壁のコンクリートビシャン仕上げの風合いを一切損なわず、コンクリート内部の改質強化、遮水防水を目的とした工法が採用されました。
コンクリートビシャン仕上げの問題

特殊ハンマー(ビシャン)でコンクリート表面に細かい打痕をつけ、柔らかい雰囲気の凹凸と、落ち着きのあるを見栄えのよい質感を演出できる工法です。
コンクリートを手作業にて削るので鉄筋の被り厚をしっかりと確保しておくことが重要です。被り厚が薄いと鉄筋腐食に至る要因(中性化の進行、塩化物イオン、雨水の侵入)の影響を強く受けてしまいます。
また、ビシャン仕上げの際にコンクリート表層部に打撃を与えて微細なひび割れが入ることから、ビシャン仕上げの上からトップコートなど樹脂系被膜を施工することで、水の侵入を防御するのも良く見られるケースです。
しかし、ツヤや光沢ムラなどの見栄えの問題、コンクリートの通気性を阻害して湿気を表層部に滞留させて逆に中性化を早める懸念もあります。
建物は8年前に外壁の大規模改修を実施していましたが、既に外壁のかなりの部位から錆汁が確認されたことから、概要箇所を削り、鉄筋の錆を除去しエポキシ樹脂を塗り断面修復を行いました。しかし、マクロセル(腐食電池形成)により、その周辺の一部で、鉄筋の腐食が再発していました。

電位の低い方がアノード、高い方がカソードとなります。断面修復箇所の鉄筋は一時的にカソードになりやすく、その周辺のコンクリートが中性化していると電位が低いためアノードとなり腐食電池が形成されて鉄筋の腐食(錆)が再発します。
コンクリ・リファクターによる鉄筋防錆予防
爆裂ケ所を特定して掘削し、鉄筋を半分露出させた状態にしてコンクリ・リファクターをコンクリート及び鉄筋に塗布、乾燥後に断面修復を行いました。断面修復用のモルタルに微量添加して使用しています。
コンクリ・リファクターの主成分である水酸化カルシウムは、コンクリートの中性化環境を改善し、亜硝酸イオンは鉄筋防錆効果を発揮します。
また、断面修復モルタルに亜硝酸が含有されることからマクロセルの再発を予防します。



サンマテラーフレアによる遮水防水
コンクリ・リファクターによる鉄筋防錆処置の後、雨水の侵入を防止することが大事になります。
また、コンクリートビシャン仕上げの風合いを損なうことのない保護処理が意匠的に求められます。
サンマテラーフレアは含浸すると超遮水層を形成し、水やその他コンクリートの劣化誘引物質の侵入を大幅に低減するため、鉄筋防錆を二重に予防することになります。


